02*たけのことられた! / 平野公子

家の前方は小高い山になっている。

春山をしばらく歩くとうっそうとした樹々の連なりで、少し怖い。かまわずズンズン歩いていくと、桜の大木が一本、その回りに視界がぱっと開かれ明るくなる場所にでた。そこにはなんとあたり一面に結構な数のお墓群が見えてくるのだった。

墓石はみなそれぞれ彼方の海にむかって建てられている。これ、島の墓の立ち姿の常識であるらしい。歩いていると島では思わぬ場所が墓所になっているところがあるが、この山の上のお墓には驚かされた。なんと気持ちのいい場所を墓所にしたのか、将来墓には入りたくない私でもこの場所にはこころ動かされる。

山は全部大家さんの地所で、墓は先祖代々十六代まで遡るひとたちのお墓なのだという。十六代! いったい何人の方々がこの山の墓に眠っておられるのだろう。計算もできない。代表して一番奥の一番古そうなお墓に手を合わせた。

山を駆け下りると、道路に近い山際は全て竹林。家を探しにきたときから目をつけていた竹林である。そう、たけのこたけのこ!

4月、まだたけのこ掘りはできないか、大家さんに聞いてみた。
ちょっと油断しておったら、全部やられてもうた。とられてしもうた。大きい穴がたくさん残っておった。えっ、誰に? 誰にって、あの穴はししやろ、いのしし。道際の細い竹のは少しのこってるやろ。穫ってもええよ、だけどうまくないかもしれんよ。

それでも楽しみにしていたたけのこ、掘りましたとも。4、5本しか残ってなかったけど。

掘ったたけのこを抱えて持ち帰り米のとぎ汁でゆで、家に小さいのを2本残して、島の友達にあげたり、神戸の娘に送った。細い竹はイノシシ君たちが掘らなかったたけのこ、それでも美味しいとメールが来るのだから、いのしし君たちが食べてしまった山の奥の竹林のたけのこはかなり美味だったのではないだろうか。クソッ。

よし、来春は昼間のうちに山の奥に入って掘るぞ、腰にたくさん鈴つけて(自己流いのしし除けのおまじない)掘るぞ。

キッと山を睨んでいのししどもに向かって決意を告げた。

いまは6月、畑にはこれでもかとカボチャの茎が伸び放題、黄色の花をつけはじめた。花の数を数えるとたいへんな数のカボチャができそうだ。ところでカボチャも誰か穫りにくるのだろうか? たぬきかいたちが背負って持ち帰ってもせいぜい1個か2個しか背負えないよね。そのくらいならいいぞ、持ち帰りオッケーよ。カボチャの回りに種から植えたトウモロコシは10本ほどのびてきた。枝豆も元気で実がつきそう。これは人間用だ、動物たちにはあげないよ。

畑には10センチくらいの大蜘蛛が3匹生息している。ヘビ、やもり、ミミズのたぐい多数、名前もしらない大きい羽虫多数。樹々や作物につく虫多数。みな土の中のさらに小さなイキモノを食べているのだろうか。身体についた蚊ははたくが、虫は殺せない。

庭の栗の木は花をさかせた。柿の木にも小さな果実がつき始めた。イチジクにも実がついた。楽しみにしていたビワは今年は不作だとか、実をつけていない! 

家にはないすももを探しに島の海側地帯を来週には歩くつもり。


2014-07-10 | カテゴリー 小豆島の食だより |