01*もったいない / 平野公子

5、60坪ほどの家の回りの畑は大家さんの手入れがいきとどいていた。
引越したその日から白菜、だいこん、じゃがいも、ねぎ、レタス、たまねぎ、紫タマネギ、絹さや、空豆とつぎつぎ収穫してはそのまま直行で台所へ。

野菜類はどれも力が強く固いが味と匂いが濃く、ウーンこれがこれぞ野菜だぁ、と感激ひとしおである。
例えば大根。畑には40本ほどあったかしら、それを毎日食べるのはふたり家族には無理。干したり焼いたり煮たりすったりしたけど、どうがんばっても半分以上は残ることになりそう。そうか家庭菜園とはいえここらあたりの畑は半農家とも言える規模の畑をたがやしている。しかも同じ種類の作物を中量に栽培している。またどの家の畑も見回すとそんな様子で、どの畑もどの畑も同じ作物だ。どうせだったら違うもの植えて交換すればいいものを、とためいきつくのは私くらいなのか。とうとう春先には畑の隅に大根の抜かれたのがほかされて(放り出してあるの意か?)あった。もったいない。

今いちばんの収穫時期にきているのが空豆。空豆が畑でどんな茎や葉のなかで育っているのか、初めて見たわたくしめ、ひとめみてその名前の由来がわかった。まだ中の豆がちいさなうち、サヤは全て空に向いて突き刺すように出ている。おそらく中の豆が大きくなるとサヤは地に向かってたれてくる、そのときは収穫時なのだろう、と思う。空にむかっているサヤをひとつもいで中の豆を生で食べると柔らかく赤ちゃんまめなのがわかる。旨い。

空豆は葉も茎も姿形美しく、びっくりするほどのいい作物であった。一年に一度しかこの姿に会えない、農業は不思議。とってもとってもとりきれないほど育っている空豆たちを一粒残らず収穫したい。ほかさないぞ。

空豆の収穫が終わる頃、大家さんに「あちこちある畑の世話で大変だから、平野さんちの前の畑は好きに何植えてもいいから」と言われた。待ってました。そういってくれると思ってましたとも。いそいそホームセンターに通い種を買い出し、畑の一部にトウモロコシ、ラディッシュ、シソ、枝豆、トマト、なすと少ない分量の収穫を見込んで植えてみた。
さて、しろうと農業はうまくいくんだろうか。失敗しないとわかんないから失敗したい。大いに失敗したい。農業の本は読んでない。作物から聞き出したい。もちろんわざわざ言わなくとも無農薬、雑草ぬきもせず、水も雨まかせ、にわかズボラ農園でやってみる。

と、へんな自信もてるのも、ココは土と空気と陽と風通しがいい。
これ以上に手をかけずにいけるものならそれがいいのでは、という確信みたいなものが私にはあるから。

次回は「たけのことられた!」


2014-06-12 | カテゴリー 小豆島の食だより |